一般的なセルフコーチング技術を一覧にしてまとめ、評価、解説しているセルフコーチングの図鑑的な物を作ろうと思って作成いたしました。まだ未完成ですが、随時追加して行く予定です。苫米地式コーチング及びTICE式コーチングで用いられる用語に準ずる内容となっていますが、評価及び解説内容に関しましては個人的な主観に基づくものですのでご理解の上ご覧下さい。

セルフコーチングの定義

まず、個々がそれぞれの解釈で「セルフコーチング」という概念を理解し使用している現状は、誤解を生み兼ねませんので、「セルフコーチング」の定義を共有する必要があります。本サイトでは「セルフコーチング」を以下のように定義します。

目標に近づくために行われるあらゆる生命活動のこと。特に自身の認知システム及び生体機能を目標達成の手段として使いこなすこと。目標そのものを維持、更新及び選択を行うこと。また、それらを実行するために用いられる技術のことを単にセルフコーチングと言う場合もある。

目次

<し>
自己概念を知る(セルフイメージを知る)
自己理解
自己決定
自己実現的予言
自己責任的解釈
支配的観念の書き換え
自由意志の理解
賞賛を受け入れる
衝動コントロール
信念の書き換え
<す>
スコトーマコントロール
<せ>
セルフトークコントロール
選択的判断
<そ>
想像
想像的無意識の涵養
尊重

<た>
体験
同化吸収促進
<と>
動機付け
<な>
内部表現の書き換え
慣れ親しむ
<に>
認知的不協和の解消
<は>
バランスをとる
<ひ>
ビジュアライゼーション
秘密にする
描写
<ふ>
フーセッドの選択
フリー・フロー
フリックバック・フリックアップ
<ほ>
冒険
ポッシビリティ・シンキング

<ま>
マインドの生合成をとる
<み>
未来を創造する
<む>
無意識の行動の書き換え
無意識の判断の書き換え
矛盾の解消
<め>
迷信の認識
<も>
問題解決
<や>
やりたいことをやる
<よ>
容認
<り>
リアリティコントロール
リアリティ通りの行動
理想の追求
<ら>
RASのコントロール

アファメーション


効果

★★★★★☆☆☆☆☆

リスク

★★★☆☆☆☆☆☆☆

難易度

★★★★☆☆☆☆☆☆



概要

Affirmation-将来における特定の進路、方向、結果、状態を確立している状況を、心の中で事実として認識して宣言、声明にすること。
また、言語化されているかどうかに関わらず、将来のイメージについて予期・想像・創造・描写が促されるあらゆる情報のこと、及びその一連の過程のことをアファメーションと言う場合もある。



効果内容

将来の状況を心の中で事実と認識することで、その状況に近づくホメオスタシスが働く。言語化によって鮮明な記述がなされることで、より事実度(リアリティ)が増す。また、言語化された将来の状況を宣言、声明にすることによって外部化することで、無意識への刷り込みが繰り返され、効果的に事実度を増すことができる。

やり方

ルール(注意事項参照)に基づいて将来の状況を文章化する。呼吸を整えて体の力を抜き、リラックスした意識状態で鮮明なイメージを描きながらアファメーションを唱え、ポジティブな情動を想起させる。頻度は1日2回程度で睡眠前後に行うことを推奨されているがその限りではない。

注意事項

将来の状況を言語で記述する際、11個のルールがある。
1.一人称で記述する。2.肯定的な表現のみを使い、肯定する対象のみを盛り込む。3.「達成している」という内容にする。4.現在進行形で書く。5.他人と比較しない。6.「動き」を表す言葉を使う。7.情動を表す言葉を使う。8.人生のバランスを考えて複数のアファメーションを矛盾なく調和させる。9.リアルなものにする。10.何度も書き直し記述の精度を高める。11.秘密にする。

補足事項

アファメーションは無数にあるセルフコーチング技術の一つに過ぎない。アファメーションを唱えるだけでゴールが達成されるわけではないが、ホメオスタシスコントロールが成されれば着実にゴールへ近づいていく。アファメーションはホメオスタシスコントロールに繋がれば効果を期待できるが、そうでない場合は時間の浪費やエフィカシーの低下に繋がり兼ねないため一定のリスクは伴う。ルールが多く、アファメーション作成に手間も伴うが、取り掛かりやすく実践自体は具体的かつ容易であるため難易度はやや低めである。


(セルフ)エフィカシー向上(Self Efficacyの向上)


効果

★★★★★★★★★☆

リスク

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

難易度

★★★★★★★★☆☆



概要

Efficacy-結果を生み出す力。認知的、社会的な行動における補助的な能力は無数の目的を確実なものにする融合的な行動の方向性を形成する。
Self Efficacy-物事を実現する能力に対する自己評価。自尊心、技能、機転、特に職務遂行の能力を総合的にみたもの。
主に「エフィカシーの向上」とは、物事を実現する能力に対する自己評価の向上(Self Efficacyの向上)を指す。



効果内容

物事を実現する能力に対する自己評価(Self Efficacy)の向上は、ホメオスタシスの変化、コンフォートゾーンの拡張及びスコトーマのコントロールを意味する。脳は「実現できない」と感じている物事には近づかないようにホメオスタシスを働かせる。また、仮に実現できている状態になったとしてもその場に留まることに対して居心地悪さを感じることで実現できていない状態に戻ろうとする。それ以前に、スコトーマによって「実現できない」ということすら認識に上がらない場合もある。無意識レベルで確信している様々な「実現できない」という思い込みを「実現できる」に変えることで、それらの問題を全て解決し、ゴールの拡大・更新・達成を容易にする。

やり方

Self Efficacyは様々な要因で変化する。主に過去の体験、知識の取得、ゲシュタルトの構築、リアリティの高いイマジネーション、セルフイメージ及び内部表現の書き換えによって変化する。
一般的なコーチング理論においては「過去の体験とSelf Efficacyは一切関連付ける必要は無いと」考え、まずは過去の体験による影響を小さくすることから始める。次にアファメーション等、その他のセルフコーチングによってリアリティの高いイマジネーションを作り上げ、Self Efficacyを高めるという流れが主流である。
セルフコーチングではないが、内部表現の書き換え技術を有したプロコーチからコーチングを受けることでSelf Efficacyを高めることも可能。

注意事項

高いSelf Efficacyは自信に満ちた態度を想起させるが、それは豊満な態度とは異なる。高いSelf Efficacyは自分自身の能力に対する信頼に限らず、他者の能力に対する信頼も含むため、他者へのリスペクト(尊敬)が欠けた豊満な態度にはなり得ない。
Self Efficacyは「自分は他人にどういう風に見られているか?」といった他者視点のセルフイメージに影響を受けるが、このセルフイメージは過去の自分を元に作られたものであるため、本来は、一切Self Efficacyと関連付ける必要が無い。
現状の外側にゴールを設定した場合、最初のうちはゴールまでの道筋が全く見えないが、真に高いSelf Efficacyを身につけるとスコトーマが外れゴールまでの道筋が鮮明に見えるようになる。その状態でゴールに向かう覚悟と決断がなされた時、そのゴールの達成は確信へと変わる。ルー・タイスの言葉で、「Invent on the way(やりながら方法を見つけること)」という言葉があるが、ゴールの達成が確信へと変わる前に、過度のリスクをとっても良いというわけではない。「Ivnent on the wayはリスク管理と並行して為されている必要がある」という点には注意が必要である。

補足事項

セルフコーチングにおいて、Self Efficacyの向上は必須事項であり重要な課題の一つである。故にSelf Efficacyの向上によって得られる効果は非常に高い。主なリスクはSelf Efficacyの意味を取り違えて豊満な態度を取ってしまうことと、リスク管理を怠ってInvent on the wayを実行してしまうことであるが、Self EfficacyとInvent on the wayについて正しい理解ができていれば殆どリスクは伴わない。Self Efficacyの向上は多くのセルフコーチング技術にとって目的に位置するものであるが故、難易度は高く設定してあるが、種々の難易度の低いセルフコーチング技術を着実に一つずつ身につけ実行していけば十分可能である。


(セルフ)エスティーム向上(Self Esteemの向上)


効果

★★★★★★★★★☆

リスク

★★★☆☆☆☆☆☆☆

難易度

★★★★★★☆☆☆☆



概要

Self Esteem-自尊心。自己の概念に関して、育み維持される自己評価や、あるいは「ありのままの自己を尊重し受け入れる」態度。コーチングでは主に自分のポジションに対する自己評価のことを指すが、稀に「ありのままの事故を尊重し受け入れる」態度のことを指す場合もある。

「セルフエスティームの向上」とは、自分のポジションに対する自己評価の向上を指す場合と、ありのままの自己を尊重し受け入れる度合いを高めることを指す場合の二通りある。



効果内容

セルフエスティームが低いと「ありのままの自己を尊重し受け入れる」態度がとれなくなる。それはつまり、ありのままの自分の姿ではなく偽りの自分の姿で人生を生きることを意味する。「やりたいこと」の多くは自分の心の内に隠れていることが多いため、ありのままの自分を尊重できなければ心から望むゴールを達成することは難しくなる。まずは、ありのままの自分を尊重し受け入れられるレベルまでセルフエスティームを戻す必要がある。この状態は人間が生まれた瞬間の状態であり、言わばゼロ地点であるが、成長過程でセルフエスティームがマイナスに振れると「やりたいことを我慢する選択」を取りがちになる。
コーチング理論では「やりたいことをやるのは当たり前」とされ、セルフエスティームをマイナスからゼロに戻す過程についてはあまり言及しない。自分のポジションに対する自己評価とは、社会における自分の役割・使命に対する自己評価であり、その役割・使命自体が「やりたいこと」であるというのは大前提である。
セルフエスティームの向上によって、心から望むゴールの発見と能動的選択が可能となる。

やり方

セルフエスティームは主に否定的な言葉によって低下し、肯定的な言葉によって向上する。自分のゴール(やりたいこと)に対して、否定的な態度及び否定的な言葉を発する人(ドリームキラー)がいる場合は勿論のこと、自分自身が否定的な態度及び否定的な言葉(ネガティブセルフトーク)を発することでもセルフエスティームは低下する。逆に自分のゴールに対して、肯定的な態度及び肯定的な言葉を発する人(ドリームサポーター)がいる場合、及び、自分自身が肯定的な態度及び肯定的な言葉(ポジティブセルフトーク)を発した場合はセルフエスティームは向上する。
ドリームキラーに対しては自分のゴールを秘密にする必要があるが、誰もがドリームキラーになり得るため、プロコーチのようなドリームサポーターを除いて、基本的には誰にもゴールに関する話をする必要はない。
セルフエスティームの向上にはセルフトークの改善が必須である。自分のゴールに対して肯定的な言葉を発し続けるのは勿論のこと、他者のゴールに対しても肯定的な言葉を発する必要があるが、それは思考の抽象度を上げることで可能になる。

注意事項

この世は矛盾に満ちており、故に全てを肯定的に捉えることは困難に思える。それはつまり、ドリームキラーや自分のゴールと相容れない思想を持つ他者に対して、自分のゴールに矛盾なく肯定的な解釈を行うことも困難に思えるということ。しかしながら不可能ではない。この世は矛盾に満ちているが、抽象度を上げればその矛盾は解消可能であり、全ては空(くう)で包摂することができる。自分のゴールの抽象度を高めて他者のゴールを包摂できれば、常に他者を肯定的に認めるが可能となる。そのため、どんなに自分と相入れない人間を目の前にしたとしても、その人間に対して否定的な言葉を発するべきではない。ゴールの抽象度を高めることがどうしても難しい場合は何も発せずに立ち去れば良いだけであり、たとえ自分のゴールと相入れない存在と直面したとしても、他者を否定し差別や偏見といった態度を示したりする必要はない。

補足事項

セルフコーチングにおいて、セルフエスティームの重要性はあまり語られないが、セルフエスティームは非常に重要な概念である。セルフエスティームはゴールに向かうためのエネルギーの源でもあり、高いセルフエスティームをなくしては大きなゴールは達成し得ない。自己の尊重はゴールの尊重とイコールであり、ゴールの尊重とは自分自身でゴールの価値を高く評価しているということでもある。
稀にセルフエスティームが下がりすぎて、「自分にはゴールがない(ゴールに価値を感じられず意欲がわかない)」という人がいる。価値を感じないゴールはそもそもゴールではない故(ゴールの定義から外れている故)、「セルフエスティームの低い人はゴールを生み出すことができない」と誤解されがちだが、実際は「大きなエネルギーを必要とするゴール」を持つことができていないだけで、「小さなエネルギーで十分達成可能なゴール」であれば誰しもが必ず複数個のゴールを持って生きている。ただし、「生きる」というエネルギーすら湧かないほどセルフエスティームが下がってしまった場合、人は死に向かい、免疫機能が低下したり自死を選択する場合もある。全ての人間はゴールを持っているが、セルフエスティームによってそのゴールに向かおうとするエネルギーの強さは千差万別である。
セルフエスティームの向上は価値観の質的変化をもたらすため、セルフエスティームを向上させることで得られる効果は計り知れない。ただし、中途半端な高さにセルフエスティームを向上させると、ドリームキラーや価値観の合わないゴールを持つ他者に対して偏見や差別、否定的な態度をとってしまうというリスクは伴う。しかし、このリスクに関しては、自身のゴールの抽象度を高めることで避けることができる。セルフエスティームを向上させる主な方法はセルフトークの改善であるため、至って容易である。しかし、一定以上のセルフエスティームを築くには抽象度の向上が必要のため、その点を含めると多少難易度は上がる。


ゲシュタルト崩壊・構築


効果

★★★★★★★★☆☆

リスク

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

難易度

★★★★★☆☆☆☆☆



概要

Gestalt-人間は常に、不完全なものを完全なものにしようとして、矛盾や不一致を減少させようとする。これを「ゲシュタルトを起こす」と言う。人間は、物事の組み立てが理解できたり、全体を構成するものが一部でも見えた時に全容を理解することができるという心理学的な見解。ゲシュタルト心理学では、ものごとは頭の中で最初に知覚された状態に細かく分割することができ、それによってものごとを理解する時の盲点を分析することができると考えられている。
人は複数のゲシュタルトを維持することができない。そのため、新たなゲシュタルトを構築するには、初めに、無秩序で混沌とした状態を作り上げる必要がある。無秩序で混沌とした状態を作り上げることをゲシュタルト崩壊と言い、無秩序で混沌とした状態から整合的な状態に変化させることをゲシュタルト構築と言う。



効果内容

ゲシュタルトの崩壊は人間の創造性を掻き立てる。人間は常に、不完全なものを完全なものにしようとして、矛盾や不一致を減少させようとするため、無意識レベルで無秩序で混沌とした世界(ゲシュタルト崩壊が起きている状態)から抜け出そうとする。
無秩序で混沌とした世界から抜け出すための手段として創造性が利用され、また、創造性によって新たなゲシュタルトが再構築される。新たに構築されたゲシュタルトは元のゲシュタルトを包摂するため、必ず元のゲシュタルトよりも多くの情報を内包する。ゲシュタルトに内包される情報量が多いほどそのゲシュタルトの抽象度は高い。つまり、ゲシュタルトの崩壊・構築は、抽象度の向上にもつながる。

やり方

ゲシュタルトの崩壊は矛盾する情報が同時に存在した時に起こる。ここで言う「矛盾する情報」とは、現状のゲシュタルト(現在受け入れている知識・理論体系)では包摂できない情報のことである。人は、「ゲシュタルトの再構築を行わなければある情報を納得する形で受け入れることができない」という場合に、現状のゲシュタルトかそのある情報のどちらか一方を否定する。この時、そのある情報を否定した場合は現状のゲシュタルトは維持されるが、現状のゲシュタルトを否定した場合はゲシュタルト崩壊が起きる。つまり、ゲシュタルトを崩壊させるには、現在受け入れている知識・理論体系を否定する必要がある。なお、現在受け入れている知識・理論体系を否定せざるを得ない情報が眼前に突きつけられた場合は、選択の余地なく強制的にゲシュタルト崩壊が生じる。
ゲシュタルトの構築はゲシュタルト崩壊が起きれば自然と起こるとされているが、リアリティのコントロールによって、新たに構築されるゲシュタルトを意識的に制御することが可能である。ただし、ゲシュタルト構築は基本的には、「ばらばらなものと感じることのできる識閾」を超えた瞬間に勝手に行われるため、意識的にゲシュタルトをコントロールする場合は、ゲシュタルトの構築の仕方よりもゲシュタルトの崩壊のさせ方の方が重要になる。「どのようにゲシュタルトを崩壊させれば、理想的なゲシュタルトが構築されるか?」と先読みする形でゲシュタルトを崩壊させることでゲシュタルトのコントロールが可能となる。(「ばらばらなものと感じることのできる識閾を超えてゲシュタルトを崩壊させ続けることができない」ということを示す例の一つに「動画」がある。連続的に表示される静止画が一定の表示速度を超えた時に、画像が動いて見えるのは、人間は情報をばらばらなものとして維持するのに限界があるため。サヴァン症候群のような特殊な脳を持つ人はその限界値が飛び抜けている場合もある。)

注意事項

ゲシュタルトは自分自身が心から受け入れている情報の集合体と考えることができる。そのためどんな情報を受け入れるかによってゲシュタルトは変化する。「どんな情報を浴びたか?」ではなく「どんな情報を受け入れたか?」という点は注意すべきポイントである。
私たちは情報の完全性を証明する手段を持ち得ていない。ある公理系の中で情報の証明ができたとしても、公理系そのものの正しさを証明できなければ情報の完全性を証明したことにはならない。公理系の正しさを証明するには別の公理系が必要なわけだが、それを永遠に繰り返したところで情報の完全性を証明することはできない。数学的にも情報の完全性を証明することは不可能であると結論づけられている。(情報の完全性を証明するのは不可能であるが、完全な情報が存在し得ないということが証明されているわけではない。)
個々のゲシュタルトは情報が完全かどうかは一切関係なく、自身がどのような情報を確信しているか(受け入れるか)によって変容する。情報の完全性が証明不能な以上、情報の確実性は個々人の確信度に頼らざるを得ないのは当然のことだが、それは、個々人のさじ加減でどのようなゲシュタルトも自由に構築可能なことを意味する。
何を確信するかは自由だが、社会で生きて行くにあたって、社会性を加味したゲシュタルトコントロールは必要不可欠である。過度なゲシュタルト崩壊によって、幻覚や幻聴が存在しうる世界を構築することも可能であるが、「自分が作り上げた世界(ゲシュタルト)が、万人に当てはまる完全性を持ち得たものではない」という理解は必要である。特に、自分の作り上げたゲシュタルトに対する完全性の確信は、差別や偏見、価値観の強制や押し付けといった態度の原因にもなりうるため、どんなに確信している情報であっても完全性を否定する姿勢は維持すべきである。
また、人は多くの情報をゲシュタルト構築によって認識している。情報量が多すぎると脳に負荷がかかりすぎるため、ありのままの情報を一つ一つの要素として認識することができないからである。人はゲシュタルト構築によって「情報量を減らす」という作業を無意識に行っており、「ゲシュタルトを構築する過程で必要な情報も削ぎ落としている可能性がある」という認識は持っておく必要がある。

補足事項

ゲシュタルト心理学はゴール達成メカニズムの説明原理として用いられる重要な学問である。
ゴールのゲシュタルトが現状のゲシュタルトよりも、よりリアルである時、現状のゲシュタルトは崩壊しゴールのゲシュタルトが構築される。すると、今まで矛盾を感じさせなかった情報が矛盾を感じさせるものばかりに変化する。この時、矛盾を感じたこれらの情報を否定し、ゴールのゲシュタルトを肯定し続けることで、スコトーマが外れ、ゴール達成までの道のりが見えるようになる。
ゲシュタルト心理学の中心的な考えにあたる「知覚は単に対象となる物事に由来する個別的な感覚刺激によって形成されるのではなく、それら個別的な刺激には還元できない全体的な枠組み(ゲシュタルト)によって大きく規定される」という原則(仮定)を基に、「人間は、物事の組み立てが理解できたり、全体を構成するものが一部でも見えた時に全容を理解することができる」という心理学的見解がなされ、そういった見解を用いてセルフコーチングにおけるゴール達成メカニズムの一連の認知過程は説明されている。
「ゲシュタルト心理学が否定された時、既存のコーチング理論はアップデートを余儀なくされる」という点は心の片隅にしまっておいて欲しい。
ゲシュタルトの崩壊・構築はゴールの更新、内部表現(ブリーフシステム)の書き換え等に通じる基本概念である。セルフコーチングを行うにあたって、意識的にゲシュタルトの崩壊・構築をある程度制御できるようになる必要があるが、まずは、ゲシュタルトが崩壊・構築される過程を日々認識することから始めると良い。リスクは注意事項にて記述した通りだが、そもそもゲシュタルトの崩壊・構築を止めること自体が不可能なため、自分自身で、ある程度ゲシュタルトの制御ができるようになることが、唯一のリスク軽減方法であると言える。そのためゲシュタルトについて学ぶこと及びゲシュタルトコントロールを実践することに関してのリスクは殆ど無いと言える。ゲシュタルトの崩壊と構築を促すには、大量の情報を取り入れると同時に既存のゲシュタルトを否定するということを繰り返すだけである。しかし、抽象度の高いゲシュタルトを崩壊させるには膨大な情報量が必要となる。そのため、難易度はゲシュタルトの抽象度の高さに応じて変化する。


建設的動機付けに基づいた行動


効果

★★★★★★★★☆☆

リスク

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

難易度

★★★★★★★★★☆



概要

Constructive Motivation-自己欲求、つまり望みに基づいた肯定的かつフリー・フローな(自然に進んでいく)行動の原動力。
建設的動機付けに基づいた行動とは、自己欲求を肯定的に捉え、一切の心理的ストッパーのない行動のこと。



効果内容

人の行動の多くは心にジレンマ(≒矛盾)を抱えている。人は同時に複数の評価軸を持って生きているが故に、「ある評価軸では評価が低くてももう一方の評価軸では評価が高い」という理由で相反する評価を下している行動を選択する。例えば、「職場環境が嫌で仕事をしたくないけど、お金が必要だから仕方がなく仕事をする」といった行動が良い例である。この場合、「仕事をする」という行動に対して、「自分の気持ち」と「お金」のそれぞれの評価軸で相反する評価が下されている。このような心にジレンマを抱えかてしまう行動は、心理的ストッパー(迷い)を生じさせパフォーマンスを大きく下げる。一切の心理的ストッパーがない建設的動機付けに基づいた行動は人間が持つ本来のパフォーマンスを発揮させる。

やり方

人は生きていく過程で日々評価軸を増やし続けている。そのためジレンマを一切なくすということは不可能である。しかし、評価軸の重要度をコントロールすることで心理的ストッパーを限りなくゼロに近づけることは可能である。
例えば、多くの人は「動物の生」に対して慈悲の心があり、ジレンマを抱えながら動物を食している。「動物の生」という評価軸に対する重要度を「食欲」という評価軸の重要度よりも限りなく低くすることで心理的ストッパーを限りなくゼロにして、牛や豚などの動物を心から好んで食すことを可能にしている。しかしヴィーガン(完全菜食主義者)のような「食欲」よりも「動物の生」を重要視する人であれば、必ず心理的ストッパーが働き、牛や豚などの動物を好んで食べるということはできない。
評価軸とその重要度は情報の蓄積によって自然と作り上げられるものだが、意識的にコントロールすることも可能である。心理的ストッパーを完全にゼロにするのも不可能であるため、建設的動機付けに基づいた行動は理論上の行動に過ぎないが、建設的動機付けに基づいた行動に限りなく近い行動は、心理的ストッパーをコントロールすることで可能と言える。

注意事項

セルフコーチングの重要な課題の一つとして「抽象度の向上」がある。抽象度は評価軸の重要度をコントロールすることでも変化する。短期的または局所的な対象も含んだ長期的または広範囲な対象の重要度が高まることで抽象度は上がる。例えば、「現在〜数百年、数千年後の人類」「動物(人間を含む)」「地球環境(人間の住環境も含む)」といった評価軸の重要度を高くするだけで抽象度は上がる。
各評価軸の重要度をコントロールする際、「抽象度を低くする方向に重要度をコントロールしてしまっていないか?」という視点は必要である。絶対に抽象度を下げてはいけないという訳ではないが、予め「これ以上下げてはいけない抽象度のライン」は決めておく必要はある。心理的ストッパーを限りなくゼロにし、人間本来のパフォーマンスを維持しつつ、可能な限り抽象度を上げていくという作業を並行しながら評価軸の重要度コントロールを行うこと。

補足事項

セルフコーチングの基本でもある「やりたいこと(want to)だけやる」というのは、言い換えれば「建設的動機付けに基づいた行動だけをとる」ということである。つまり、「心理的ストッパーの無いことだけをやって生きる」ということになるが、「それができないから困っている」という人も多い。誰しも「生きていく上でやらなければいけないこと(have to)」がいくつかある。セルフコーチングはそのhave toを減らしていく作業でもある。そもそもhave toはwant toがなければ存在し得ない。例えば「生きたい」という欲求(want to)がなければ、「生きるために嫌な仕事でお金を稼がなければいけない」といったhave toは生まれまれようがない。have toは単なる手段の選択間違いである。この場合、お金を稼ぐ手段、ひいては生きるための手段が間違っている。建設的動機付けに基づいた行動を取るなら、好きな仕事でお金を稼げば良いし、それ以前にお金を稼ぐことが嫌ならお金を稼がず生きる手段だってある。「好きな仕事に就く」、「お金を稼がずに生きる」といったことが現状難しいのならそれをゴールにしてセルフコーチングを行えば良い。最初は「建設的動機付けに基づいた行動」を行うこと自体がゴールとなるのは至極当たり前のことである。その他のセルフコーチングができれば建設的動機付けに基づいた行動を取るための方法は見つかる。


ゴール設定


効果

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

リスク

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

難易度

★★★★★★★★★☆



概要

Goal(s)-実在するもの、または事実を基にして、人間が求める結果。あるいは内面的、主観的に求める結果。最終的なゴールが達成目標である。身近なゴールは、達成目標に到達するための手段となる通過点と言える。
Goal Setting-どのような人間になりたいか、何が欲しいのかを定める行為。



効果内容

全ての人はゴールを持っているが、そのゴールを本人が意識できているとは限らない。ゴールは、本人が漠然と信じている情報、無意識レベルで感じている現実、内なる願望、といった様々な要素が複雑に組み合わさってできている。そして、ゴールは日々インプットされる膨大な情報に影響を受けることで、常に変容続けている。人間は日々変容するゴールに向かって進んでしまうシステムを持つ。自ら意識的にゴールを設定するということは、自らの意思で現在この瞬間の向かう方向を定めることを意味する。ゴール設定後はそのゴールが変容しない限り、達成されるまで向かい続けることになる。つまり、ゴールを達成するには一定期間のゴールの固定が不可欠である。今この瞬間どのようなゴールが設定されているかによって、その人の今この瞬間の行動、選択、思考状態等、あらゆる生命活動が決まる。この生体システムを根拠に「ゴール(未来)が現在を作り出す」と考えることもできる。

やり方

日々ゴールは再設定されている。ゴールの設定はすでに誰もが行っていることであり、難しいことではない。ただし、意図的にゴールを設定する場合は、ゴール設定がなされる仕組みを理解し、その仕組みを基に作られたゴール設定手順に従う必要がある。
ゴールを構成する要素は全て情報である。意識的にゴールをコントロールする際にやるべきことが2つある。1.ゴールを構成している情報を書き換え及び更新する。(既知の情報の解釈を変える)2.情報の流入を制御する。
どのように既知の情報の解釈を変えれば良いか?どのような情報を取り入れ、どのような情報を遮断したら良いか?に関しては、ゴールから逆算して考える必要がある。(ゴールを構成している情報の中にはDNA等、先天的に生体に組み込まれた情報も含まれる。また、人間は脳の発達によりDNA情報に逆らった選択が可能である。)
例えば、「オリンピックで金メダルを取る」というゴールを設定したいと思っている人が「私は運動が苦手である」という情報を持っていた場合、「私は運動が得意である」という情報に書き換える必要がある。また、「あなたには無理だ」といったエフィカシーを下げるような情報は遮断する必要があるし、「昨日よりも上達している」「実際に日本一になる」といった、ゴールのリアリティを高める情報を積極的に取り入れていく(結果を出していく)必要がある。いきなり「実際に日本一になる」ということが難しい場合は、「県大会で上位に入賞する」といった難易度の低めたものでも問題ない。今現在のゴールとの距離はあまり重要ではなく、「着実にゴールまでの距離が短くなっている」ということを実感できる情報を取り入れることが重要である。 

注意事項

繰り返しになるが、ゴールの設定自体は難しいことではない。人はふとした時に新しく大きなゴールを設定している。「あの人のようになりたい」と憧れて少しでも近づこうと努力を始めたり、他人に影響を受けて無謀なチャレンジを行ったりした経験は誰もがあるはずである。その時点でゴール設定は上手くいっている。しかしながら、ゴールに向かっている最中に「やっぱり自分はあの人のようにはなれない」「これ以上の挑戦を行っても無駄だ」と感じたりすると、道半ばでゴールが書き換わる。ゴール設定が上手くいったからといって安心してはいけない。大事なのはゴール設定後、そのゴールを達成するまで維持し続けることである。セルフコーチングの多くは、設定したゴールを固定するための技術であり、ゴール設定後もセルフコーチングを続ける必要がある。。
過去に設定したゴールが全くの勘違いだということであればゴールの再設定は必要だが、基本的には一度設定したゴールは「このまま現状維持を続けていれば達成できる」と確信に至るまで固定し続けるものである。ゴールの更新は、基本的には今設定しているゴールを達成した先に更新するのであって、今設定しているゴールを諦める言い訳に使ってはいけない。ただし、必要に応じて途中でゴールに向かうための手段(道順)を変えたりすることはなんら問題ない。

補足事項

セルフコーチングを学んでいる人であれば「ゴール設定が大事」という話は何度も耳にしているはずだ。しかし、「ゴール設定が大事」というよりは、正しくは「どんなゴールを固定するかが大事」である。単にゴールを設定すれば良いというわけではないということは忘れないでいただきたい。
ゴール設定そのものの効果は非常に薄い。一度ゴールを設定しても、ゴールを固定する技術を持ち合わせていなければ、ゴール達成に不都合な情報が入力された瞬間にそのゴールは書き換わり、自動的に別のゴールが設定されてしまうからである。ゴールは固定しない限り常に再設定を繰り返し変化し続けるため、平均的に見て、たった一度のゴール設定が与える影響は殆どないと言える。故にリスクも限定的である。しかし、意識的に意図するゴールを設定するには、「既知の情報の書き換え」及び「入力される情報のコントロール」が必要であるため、難易度は高めである。


コンディショニングコントロール


効果

★★★★☆☆☆☆☆☆

リスク

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

難易度

★★★★☆☆☆☆☆☆



概要

Conditioning-特定の刺激に対する行動の傾向。
コンディショニングコントロールとは、特定の刺激に対する行動の傾向を維持もしくは、意図的に別の傾向に書き換えること。



効果内容

人間に限らず生物は刺激に応じて特定の反応を示す。その反応は物理的なものに限らない。特に人間は思考や精神といった内的反応にも刺激に応じた特定の反応傾向をもつ。ある入力刺激に対する反応傾向は人それぞれで千差万別である。万人に共通した良い反応傾向というものはなく、反応傾向の良し悪しは本人のゴール及び本人を取り巻く環境によって定まる。コンディショニングコントロールは、一つ一つの刺激に対して、本人のゴールにとって良い反応傾向を示せるように修正していく地道な作業である。反応傾向が一つ修正されるごとに、ゴールを達成している自分の状態に近づくことになる。

やり方

まず、ゴールを達成している状態の理想的な自分の姿をイメージしておく。ある刺激を受け、なんらかの反応傾向を示した際に、「ゴールを達成している状態の自分だったらどのような反応を示すだろうか?」と、現在の自分とゴールを達成している状態の自分を比較する。ゴールを達成している状態の自分が示すであろう反応と同じであれば「自分らしい」と現在の自分を認め、もし違うなら「自分らしくなかった。次は自分らしい反応をしよう。」と、一度現在の自分コンディショニングを否定して未来の自分のコンディショニングを定める。何度も繰り返し、正しい(ゴールに合った)セルフトークを行うことでコンディショニングをコントロールすることができる。

注意事項

人は脳内で無意識に無数の言葉を発して思考を作り出す。コンディショニングコントロールを行うには、思考の客観的観察が不可欠であるが、常に意識的な内省を行う必要があるわけではない。実生活を送りながら内省を常に意識的に行うことは現実的には難しいため、自分に相応しくないコンディショニングが現れた時にだけ、それを正すセルフトークを行えば良い。常に意識を内に向けていると他のパフォーマンスが下がりかねないという点は注意が必要である。
また、コンディショニングコントロールを行う本来の目的を忘れてはいけない。コンディショニングコントロールは抽象度の低い階層からアプローチを行う内部表現書き換え技術である。コンディショニングは内部表現が原因で生まれた結果であり、結果に注目するよりは原因である内部表現に注目することの方が大事である。内省を行う際、単に正しいセルフトークを行うだけでなく、「なぜこのようなコンディショニングが形成されているのか?」と考え、コンディショニングを作り出している原因となっている内部表現を見つけ出してその原因を取り除く、といった一段抽象度の高いアプローチを行うことでより高い効果を見込める。

補足事項

ゴールの臨場感が高まっていると、自然と自分に相応しくないコンディショニングに違和感を感じ、内省状態に入ってしまう。そのため、わざわざ意識的に内省を行おうとする必要はない。内省状態に入った時に、正しいセルフトークを行う習慣をつけることが重要になる。
コンディショニングコントロールはセルフコーチングの中ではアプローチの抽象度が低い部類に入る。そのため直接的に内部表現の書き換えを行うような抽象度の高いアプローチのセルフコーチングより効果は劣る。しかし、注意事項で記したような一段抽象度の高いアプローチを行えば高い効果を見込める。基本的には末端の反応を書き換えるだけなのでリスクは低い。難易度についてだが、正しいセルフトークを行うこと自体は難しくない。ただし、無意識に行われている誤った(ゴールに合致しない)セルフトークに気づけるようになるためには、ある程度ゴールの臨場感を高めておく必要がある。


コンフォートゾーンに移動


効果

★★★★★☆☆☆☆☆

リスク

★★★★★☆☆☆☆☆

難易度

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆



概要

Comfort Zone-個人または団体が、困窮や恐れを伴わずに効果的に機能を果たしながら認知・照合を実行できる限定的な範囲。人が緊張せずにいることのできる、物理的または精神的に限定された範囲。
(認知とは、心理学などで、人間などが外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のこと。照合とは、刺激や事象によって引き起こされる特定の心理的経験であり、複数の事柄を結びつけること。)
コンフォートゾーンに移動するとは、Comfort Zoneとして定めている範囲に、物理的または精神的に移動すること。及び、Comfort Zoneとして定めている範囲内の行動や思考を行うこと。



効果内容

人はコンフォートゾーンの範囲内(内側)にいる時は、気分が良く心が安定しアイデアが出やすい状態(リラックス状態)で認知・照合を実行できる。人はリラックス状態にある時、α2波(9〜11Hzの脳波)の優勢率が高く検出される。これは副交感神経が優位な状態を示すが、リラックス状態でありながらも交感神経が優位な状態(フロー状態)もコンフォートゾーンの内側にいる時におこる。交感神経と副交感神経のバランスが取れていてることが重要であり、どちらが優位かは重要ではない。どちらにせよ、気分良くゴールに向うことができているなら、それはコンフォートゾーンの内側にいることを意味する。

やり方

人間はコンフォートゾーンに向かってしまう性質がある。コンフォートゾーンの外側にいる時は居心地の悪さを感じてその場から離れようとし、コンフォートゾーンの内側にいる時は居心地の良さを感じてその場に止まろうとする。もともとそういった性質が備わっているため、その性質に逆わなければコンフォートゾーンへの移動は可能である。

注意事項

コンフォートゾーンは一人当たり一つしかないと思われがちだが、実際はゴールの数だけ存在し、ベン図(複数の集合の関係や集合の範囲を視覚的に図式化したもの)のように部分的に重なり合ったりしている。そのため、「ゴールAのコンフォートゾーンの内側にいながら、ゴールBのコンフォートゾーンの外側にいる」と行った状況が常に起きている。すると、単にコンフォートゾーンに向かってしまう性質に従っていれば良いという話ではなくなる。例えば、逆方向にコンフォートゾーンが広がっていた場合、どちらに向かって行けば良いかわからなくなってしまう。結果的には臨場感の高いゴールによって生まれたコンフォートゾーンの方に引き寄せられて行くのだが、その過程でもう一方のコンフォートゾーンにも引っ張られ、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態になる。コンフォートゾーンが複数あること自体は問題ないが、それぞれのコンフォートゾーンの大体の位置は統一し、必ず共通部分が存在するように作られている必要がある。方向性が同じであっても共通部分が存在していなければ、矛盾が生じて最終的にどちらか一方のゴールを諦めなければいけなくなる。ただし、時間差をつけて切り替えが可能な場合は、コンフォートゾーンのそれぞれの位置関係はあまり重要ではない。

補足事項

コンフォートゾーンに移動することができない人の主な原因は、矛盾する(共通部分の存在しない)コンフォートゾーンを複数抱えていることによる。共通部分を持たずバラバラに存在する複数のコンフォートゾーンを前にしてどこにも向かうことができず、あるいは、いくつかのコンフォートゾーンに未練を感じながら現状維持に甘んじているという場合、コンフォートゾーンに移動することが非常に難しくなる。(常にコンフォートゾーンに向かってはいるが、いつまで経ってもたどり着かない状態。あと一歩のところまでたどり着いたとしても、そこに踏み込むことは即ちもう一方のコンフォートゾーンを諦めることを意味するため、決断ができず、現状のどっちつかずの状態を維持している状態。)「コンフォートゾーンに移動する」という行為自体は無意識が勝手に行うものであるため、それを意識的に行う必要は一切ないが、その前段階として、コンフォートゾーンが正しい位置に設置されている必要がある。コンフォートゾーンが正しい位置に設置されていない場合は、コンフォートゾーンの書き換えが必要である。
コンフォートゾーンへの移動は、セルフコーチング技術というよりは人間が備えている機能である。睡眠欲などと同様で、睡眠を妨げられたりしなければ自然と眠りにつくことができるのと同じようなものである。コンフォートゾーンの場合は、他人に妨害されたりしたとしても、クリエイティブにコンフォートゾーンの方向へ向かう手段を見つけ出す。おそらくこの機能がなければ人間は絶滅していた可能性もあるため、もちろん効果はあるわけだが、コンフォートゾーンへの移動は誰もが自然と行なっている人間の生態機能の一つであるということを考慮して、効果及びリスクの評価は中間の★5とした。難易度は当然★1である。


コンフォートゾーンの書き換え


効果

★★★★★★★★☆☆

リスク

★★★★★★★☆☆☆

難易度

★★★★☆☆☆☆☆☆



概要

Comfort Zone-個人または団体が、困窮や恐れを伴わずに効果的に機能を果たしながら認知・照合を実行できる限定的な範囲。人が緊張せずにいることのできる、物理的または精神的に限定された範囲。
(認知とは、心理学などで、人間などが外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のこと。照合とは、刺激や事象によって引き起こされる特定の心理的経験であり、複数の事柄を結びつけること。)
コンフォートゾーンの書き換えとは、自身のComfort Zoneとして定められている範囲を、意図的に別の範囲に書き換えること。



効果内容

人はコンフォートゾーンに向かって行く性質を備えている。コンフォートゾーンを自在に書き換えられるということは、自分自身がどういう未来に向かって行くかを決める舵を意識的に切ることができることを意味する。コンフォートゾーンの書き換えは、現在の自分、延いては未来の自分の意識的及び無意識的な思考・選択・行動のコントロールにつながる。

やり方

コンフォートゾーンは記憶を基に作られた現実的なイメージである。正の情動記憶(感情にまつわる記憶。あるいは感情を伴った記憶。)によってイメージの快適性が評価され、負の情動記憶によって実現可能性が評価される。快適なイメージであっても、そのイメージの実現過程で負の情動記憶を呼び起こすものがあれば「自分にはそのイメージは実現できない」と感じてしまう。つまり、そのイメージは「コンフォートゾーンの外側の事象である」と感じる。人間は感情の生き物であり、論理的に実現可能かどうかは二の次で実現可能性を評価する。そのため、解決方法が不明なこと(現状知る限りの情報では実現の方法が解らないこと)にもチャレンジすることができる。
以上のことからコンフォートゾーンの書き換えは、情動記憶の書き換えによって可能であることがわかる。一般的には「過去は未来とは一切関係のないものである」として、未来のイメージと負の情動記憶の結びつきを断ち切るという方法が推奨されている。負の情動記憶との結びつきが一切ない未来のイメージは実現可能性の高いイメージとして解釈される。それはイメージ単体に対するエフィカシーの向上を意味する。

注意事項

情動記憶の書き換えに当たって、過去の観察を行うというアプローチは一昔前のコーチング理論であり、最新のコーチング理論ではその行為は推奨されていない。観察を伴う負の情動記憶の書き換えが失敗した場合、かえってその負の情動記憶が強化されてしまう可能性があるからである。負の情動記憶が強化されると、その記憶と結びつきのあるイメージに対するエフィカシーが低下する。コンフォートゾーンを書き換える際に、情動記憶の書き換えを行う場合は「過去は未来とは一切関係のないものである」として、負の情動記憶と未来の関係性を断ち切る作業に徹すること。情動記憶の直接的な書き換えは、一般的なセルフコーチングでは推奨されていない。コーディングの素人がソフトのプログラムコードを書き換えるようなものと考えると、直接的な情動記憶の書き換えには大きなリスクが伴うということがなんとなく想像できる。

補足事項

負の情動記憶と未来のイメージを断ち切る方法はいくつかあるが、主な方法はその記憶そのものを忘れてしまうことである。忘れるコツは思い出さないことである。思い出さないとは言っても、記憶は特定の情報をトリガーに自動的に引き出されてしまう。記憶を思い出さないようにするには、このトリガーを一つずつ外して行く作業が必要になる。トリガーを外す方法はいたってシンプルである。記憶が呼び起こされた時に、「トリガーとなった情報とこの情動記憶は一切関係がない」と唱え(頭の中で思うだけで良い)、すぐに別のことに思考を切り替えるだけである。何度も繰り返して行くうちに、思考の切り替えがスムーズになり、そのうちトリガーが発動しなくなる。
コンフォートゾーンの書き換えは、内部表現の書き換えそのものであり、無意識レベルの行動や思考をコントロールする技術である為、効果は高い。注意事項で記した通り、過去を注意深く観察するといった誤ったアプローチで情動記憶の書き換えを行った場合大きなリスクを伴うが、単に、情動記憶と未来のイメージの関係性を断ち切るだけなら殆どリスクはない。また、情動記憶と未来のイメージの関係性を断ち切るだけならそれほど難しいことではない。


自己概念を知る(セルフイメージを知る)


効果

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

リスク

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

難易度

★★☆☆☆☆☆☆☆☆



概要

Self-自己。自分自身。己。 Self Image-セルフイメージ。自己概念。自己価値観に対する自分自身の意見。心理学において"自己(Self) "は「自分によって経験または意識される自分自身」を指すが、ここでは、"心理学における自己"を「セルフイメージ」とする。
自己概念を知る(セルフイメージを知る)とは、自分自身がどのように自己を認識しているかを把握すること。



効果内容

人はセルフイメージに合わせた選択や行動を行う。セルフイメージと合致した振る舞いや態度及び入力された情報に対する特定の反応を維持しようとし、それらとセルフイメージにズレがあった場合に違和感を感じる。セルフイメージは一種のコンフォートゾーンと考えることもできる。この特性から、セルフイメージを書き換えることで自己の無意識の振る舞いや態度、選択や行動をコントロールすることができる。しかし、セルフイメージを書き換えるには、まず、自分がどんなセルフイメージを構築しているかを知り、明確に認識しておく必要がある。認識に上がったものはコントロールが可能である。故に、セルフイメージを知ることはセルフイメージの書き換えができることを意味する。

やり方

まず、自分の性格・特徴・性質等を言語で定義して行く。自分自身の主観的な認識で良い為、正確に自己を定義できている必要はない。客観的にはその定義が全く的外れなものだったとしても問題ない為、思うがままに「自分はこんな人間だ」という定義を行って良い。
次に、自分の振る舞いや態度及び入力された情報に対する特定の反応といったものをヒントに、自分の性格・特徴・性質等を推測する。この推測過程で、「自分の性格・特徴・性質等」と「自分の振る舞いや態度といったもの」がどういう関係性を持っているかがわかる。例えば、他人に否定的な言葉をぶつけられた時に怒りの感情が表情に出てしまったとする。この例からでも、「感情が顔に出やすい」「他人の否定的な言葉に嫌悪感を感じやすい(感受性が高い)」「その言葉を受け入れられない理由がある」といった複数の性質や固定観念があると推測できる。この時推測された性質や固定観念は単なる思い込みである。しかしながら、自己概念(セルフイメージ)もまた主観に基づく単なる思い込みにすぎない。何を思い込んでいるかを明確にした上で「セルフイメージは自分が作り出しているものなのだから自在に書き換え可能である」と理解した瞬間、セルフイメージの書き換えが可能となるが、知るだけで十分な場合はわざわざ書き換える必要はない。

注意事項

セルフイメージを書き換えると、書き換えた部分と対応する振る舞いや態度及び入力された情報に対する特定の反応が変化する。「人の永続的的な変化は内側から始まり外側へ広がる」というルー・タイスの言葉が示すように、セルフイメージのような内側を変化させるだけで、振る舞いや態度及び入力された情報に対する特定の反応といった外側が変化してしまう。つまり、内側の変化が僅かであっても外側では大きな変化が起きることになる。その為、不確定な変化に対して事前にある程度のリスク管理が必要となる。そこで「自分の性格・特徴・性質等」と「自分の振る舞いや態度といったもの」がどういう関係性を持っているかを知っておくことが重要となる。この関係性をもとに、内側の変化がどれくらい外側に影響を与えるかを予測し、リスクを見越したセルフイメージの書き換えを行わなければいけない。

補足事項

セルフイメージを書き換えた場合はなんらかのリスクを伴うが、ただセルフイメージを知るだけなら殆どリスクはない。しかし、リスクがゼロというわけではない。単にセルフイメージを知るだけだと、そのイメージを強化してしまう可能性がある。しかし、「セルフイメージは単なる思い込みである」と理解している場合は、意識に上がったことでコントロール可能となり、逆にそのイメージが弱まる可能性がある。
リスクと同様に、セルフイメージを知るだけなら効果も殆どない。セルフイメージを知る作業は観察に基づく推測をひたすら行うだけであり、推測の精度は問わないため難易度は低い。


自己理解


効果

★★★★★★★★★★

リスク

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

難易度

★★★★★★★★★★



概要

Self-自己。自分自身。己。 Self Image-セルフイメージ。自己概念。自己価値観に対する自分自身の意見。心理学において"自己(Self) "は「自分によって経験または意識される自分自身」を指すが、ここでは、"心理学における自己"を「セルフイメージ」とする。
自己理解とは、自己を正しく見ること。「セルフイメージを知ること」とは意味が異なる。