
一般的なセルフコーチング技術を一覧にしてまとめ、評価、解説しているセルフコーチングの図鑑的な物を作ろうと思って作成いたしました。まだ未完成ですが、随時追加して行く予定です。苫米地式コーチング及びTICE式コーチングで用いられる用語に準ずる内容となっていますが、評価及び解説内容に関しましては個人的な主観に基づくものですのでご理解の上ご覧下さい。
セルフコーチングの定義
まず、個々がそれぞれの解釈で「セルフコーチング」という概念を理解し使用している現状は、誤解を生み兼ねませんので、「セルフコーチング」の定義を共有する必要があります。本サイトでは「セルフコーチング」を以下のように定義します。
目次
<あ>
アファメーション
<え>
(セルフ)エフィカシー向上
(セルフ)エスティーム向上
<け>
ゲシュタルト崩壊・構築
建設的動機づけに基づいた行動
<こ>
ゴール設定
コンディショニングコントロール
コンフォートゾーンに移動
コンフォートゾーンの書き換え
<し>
自己概念を知る(セルフイメージを知る)
自己決定
自己実現的予言
支配的概念の書き換え
自由意志の理解
賞賛を受け入れる
衝動コントロール
信念の書き換え
<す>
スコトーマコントロール
<せ>
セルフトークコントロール
選択的判断
<そ>
想像
想像的無意識の涵養
尊重
<た>
体験
同化吸収促進
<と>
動機付け
<な>
内部表現の書き換え
慣れ親しむ
<に>
認知的不協和の解消
<は>
バランスをとる
<ひ>
ビジュアライゼーション
秘密にする
描写
<ふ>
フーセッドの選択
フリー・フロー
フリックバック・フリックアップ
<ほ>
冒険
ポッシビリティ・シンキング
<ま>
マインドの生合成をとる
<み>
未来を創造する
<む>
無意識の行動の書き換え
無意識の判断の書き換え
矛盾の解消
<め>
迷信の認識
<も>
問題解決
<や>
やりたいことをやる
<よ>
容認
<り>
リアリティコントロール
リアリティ通りの行動
理想の追求
<ら>
RASのコントロール
アファメーション
効果 |
★★★★★☆☆☆☆☆ |
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リスク |
★★★☆☆☆☆☆☆☆ |
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難易度 |
★★★★☆☆☆☆☆☆ |
概要 |
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Affirmation-将来における特定の進路、方向、結果、状態を確立している状況を、心の中で事実として認識して宣言、声明にすること。 |
効果内容 |
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将来の状況を心の中で事実と認識することで、その状況に近づくホメオスタシスが働く。言語化によって鮮明な記述がなされることで、より事実度(リアリティ)が増す。また、言語化された将来の状況を宣言、声明にすることによって外部化することで、無意識への刷り込みが繰り返され、効果的に事実度を増すことができる。 |
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やり方 |
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ルール(注意事項参照)に基づいて将来の状況を文章化する。呼吸を整えて体の力を抜き、リラックスした意識状態で鮮明なイメージを描きながらアファメーションを唱え、ポジティブな情動を想起させる。頻度は1日2回程度で睡眠前後に行うことを推奨されているがその限りではない。 |
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注意事項 |
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将来の状況を言語で記述する際、11個のルールがある。 |
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補足事項 |
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アファメーションは無数にあるセルフコーチング技術の一つに過ぎない。アファメーションを唱えるだけでゴールが達成されるわけではないが、ホメオスタシスコントロールが成されれば着実にゴールへ近づいていく。アファメーションはホメオスタシスコントロールに繋がれば効果を期待できるが、そうでない場合は時間の浪費やエフィカシーの低下に繋がり兼ねないため一定のリスクは伴う。ルールが多く、アファメーション作成に手間も伴うが、取り掛かりやすく実践自体は具体的かつ容易であるため難易度はやや低めである。 |
(セルフ)エフィカシー向上(Self Efficacyの向上)
効果 |
★★★★★★★★★☆ |
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リスク |
★★☆☆☆☆☆☆☆☆ |
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難易度 |
★★★★★★★★☆☆ |
概要 |
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Efficacy-結果を生み出す力。認知的、社会的な行動における補助的な能力は無数の目的を確実なものにする融合的な行動の方向性を形成する。 |
効果内容 |
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物事を実現する能力に対する自己評価(Self Efficacy)の向上は、ホメオスタシスの変化、コンフォートゾーンの拡張及びスコトーマのコントロールを意味する。脳は「実現できない」と感じている物事には近づかないようにホメオスタシスを働かせる。また、仮に実現できている状態になったとしてもその場に留まることに対して居心地悪さを感じることで実現できていない状態に戻ろうとする。それ以前に、スコトーマによって「実現できない」ということすら認識に上がらない場合もある。無意識レベルで確信している様々な「実現できない」という思い込みを「実現できる」に変えることで、それらの問題を全て解決し、ゴールの拡大・更新・達成を容易にする。 |
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やり方 |
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Self Efficacyは様々な要因で変化する。主に過去の体験、知識の取得、ゲシュタルトの構築、リアリティの高いイマジネーション、セルフイメージ及び内部表現の書き換えによって変化する。 |
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注意事項 |
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高いSelf Efficacyは自信に満ちた態度を想起させるが、それは豊満な態度とは異なる。高いSelf Efficacyは自分自身の能力に対する信頼に限らず、他者の能力に対する信頼も含むため、他者へのリスペクト(尊敬)が欠けた豊満な態度にはなり得ない。 |
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補足事項 |
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セルフコーチングにおいて、Self Efficacyの向上は必須事項であり重要な課題の一つである。故にSelf Efficacyの向上によって得られる効果は非常に高い。主なリスクはSelf Efficacyの意味を取り違えて豊満な態度を取ってしまうことと、リスク管理を怠ってInvent on the wayを実行してしまうことであるが、Self EfficacyとInvent on the wayについて正しい理解ができていれば殆どリスクは伴わない。Self Efficacyの向上は多くのセルフコーチング技術にとって目的に位置するものであるが故、難易度は高く設定してあるが、種々の難易度の低いセルフコーチング技術を着実に一つずつ身につけ実行していけば十分可能である。 |
(セルフ)エスティーム向上(Self Esteemの向上)
効果 |
★★★★★★★★★☆ |
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リスク |
★★★☆☆☆☆☆☆☆ |
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難易度 |
★★★★★★☆☆☆☆ |
概要 |
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Self Esteem-自尊心。自己の概念に関して、育み維持される自己評価や、あるいは「ありのままの自己を尊重し受け入れる」態度。コーチングでは主に「自分のポジションに対する自己評価」のことを指すが、稀に「ありのままの自己を尊重し受け入れる態度」のことを指す場合もある。 |
効果内容 |
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セルフエスティームが低いと「ありのままの自己を尊重し受け入れる」態度がとれなくなる。それはつまり、ありのままの自分の姿ではなく偽りの自分の姿で人生を生きることを意味する。「やりたいこと」の多くは自分の心の内に隠れていることが多いため、ありのままの自分を尊重できなければ心から望むゴールを達成することは難しくなる。まずは、ありのままの自分を尊重し受け入れられるレベルまでセルフエスティームを戻す必要がある。この状態は人間が生まれた瞬間の状態であり、言わばゼロ地点であるが、成長過程でセルフエスティームがマイナスに振れると「やりたいことを我慢する選択」を取りがちになる。 |
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やり方 |
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セルフエスティームは主に否定的な言葉によって低下し、肯定的な言葉によって向上する。自分のゴール(やりたいこと)に対して、否定的な態度及び否定的な言葉を発する人(ドリームキラー)がいる場合は勿論のこと、自分自身が否定的な態度及び否定的な言葉(ネガティブセルフトーク)を発することでもセルフエスティームは低下する。逆に自分のゴールに対して、肯定的な態度及び肯定的な言葉を発する人(ドリームサポーター)がいる場合、及び、自分自身が肯定的な態度及び肯定的な言葉(ポジティブセルフトーク)を発した場合はセルフエスティームは向上する。 |
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注意事項 |
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この世は矛盾に満ちており、故に全てを肯定的に捉えることは困難に思える。それはつまり、ドリームキラーや自分のゴールと相容れない思想を持つ他者に対して、自分のゴールに矛盾なく肯定的な解釈を行うことも困難に思えるということ。しかしながら不可能ではない。この世は矛盾に満ちているが、抽象度を上げればその矛盾は解消可能であり、全ては空(くう)で包摂することができる。自分のゴールの抽象度を高めて他者のゴールを包摂できれば、常に他者を肯定的に認めるが可能となる。そのため、どんなに自分と相入れない人間を目の前にしたとしても、その人間に対して否定的な言葉を発するべきではない。ゴールの抽象度を高めることがどうしても難しい場合は何も発せずに立ち去れば良いだけであり、たとえ自分のゴールと相入れない存在と直面したとしても、他者を否定し差別や偏見といった態度を示したりする必要はない。 |
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補足事項 |
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セルフコーチングにおいて、セルフエスティームの重要性はあまり語られないが、セルフエスティームは非常に重要な概念である。セルフエスティームはゴールに向かうためのエネルギーの源でもあり、高いセルフエスティームをなくしては大きなゴールは達成し得ない。自己の尊重はゴールの尊重とイコールであり、ゴールの尊重とは自分自身でゴールの価値を高く評価しているということでもある。 |
ゲシュタルト崩壊・構築
効果 |
★★★★★★★★☆☆ |
|
リスク |
★★☆☆☆☆☆☆☆☆ |
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難易度 |
★★★★★☆☆☆☆☆ |
概要 |
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Gestalt-人間は常に、不完全なものを完全なものにしようとして、矛盾や不一致を減少させようとする。これを「ゲシュタルトを起こす」と言う。人間は、物事の組み立てが理解できたり、全体を構成するものが一部でも見えた時に全容を理解することができるという心理学的な見解。ゲシュタルト心理学では、ものごとは頭の中で最初に知覚された状態に細かく分割することができ、それによってものごとを理解する時の盲点を分析することができると考えられている。 |
効果内容 |
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ゲシュタルトの崩壊は人間の創造性を掻き立てる。人間は常に、不完全なものを完全なものにしようとして、矛盾や不一致を減少させようとするため、無意識レベルで無秩序で混沌とした世界(ゲシュタルト崩壊が起きている状態)から抜け出そうとする。 |
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やり方 |
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ゲシュタルトの崩壊は矛盾する情報が同時に存在した時に起こる。ここで言う「矛盾する情報」とは、現状のゲシュタルト(現在受け入れている知識・理論体系)では包摂できない情報のことである。人は、「ゲシュタルトの再構築を行わなければある情報を納得する形で受け入れることができない」という場合に、現状のゲシュタルトかそのある情報のどちらか一方を否定する。この時、そのある情報を否定した場合は現状のゲシュタルトは維持されるが、現状のゲシュタルトを否定した場合はゲシュタルト崩壊が起きる。つまり、ゲシュタルトを崩壊させるには、現在受け入れている知識・理論体系を否定する必要がある。なお、現在受け入れている知識・理論体系を否定せざるを得ない情報が眼前に突きつけられた場合は、選択の余地なく強制的にゲシュタルト崩壊が生じる。 |
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注意事項 |
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ゲシュタルトは自分自身が心から受け入れている情報の集合体と考えることができる。そのためどんな情報を受け入れるかによってゲシュタルトは変化する。「どんな情報を浴びたか?」ではなく「どんな情報を受け入れたか?」という点は注意すべきポイントである。 |
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補足事項 |
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ゲシュタルト心理学はゴール達成メカニズムの説明原理として用いられる重要な学問である。 |
建設的動機付けに基づいた行動
効果 |
★★★★★★★★☆☆ |
|
リスク |
★★☆☆☆☆☆☆☆☆ |
|
難易度 |
★★★★★★★★★☆ |
概要 |
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Constructive Motivation-自己欲求、つまり望みに基づいた肯定的かつフリー・フローな(自然に進んでいく)行動の原動力。 |
効果内容 |
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人の行動の多くは心にジレンマ(≒矛盾)を抱えている。人は同時に複数の評価軸を持って生きているが故に、「ある評価軸では評価が低くてももう一方の評価軸では評価が高い」という理由で相反する評価を下している行動を選択する。例えば、「職場環境が嫌で仕事をしたくないけど、お金が必要だから仕方がなく仕事をする」といった行動が良い例である。この場合、「仕事をする」という行動に対して、「自分の気持ち」と「お金」のそれぞれの評価軸で相反する評価が下されている。このような心にジレンマを抱えかてしまう行動は、心理的ストッパー(迷い)を生じさせパフォーマンスを大きく下げる。一切の心理的ストッパーがない建設的動機付けに基づいた行動は人間が持つ本来のパフォーマンスを発揮させる。 |
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やり方 |
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人は生きていく過程で日々評価軸を増やし続けている。そのためジレンマを一切なくすということは不可能である。しかし、評価軸の重要度をコントロールすることで心理的ストッパーを限りなくゼロに近づけることは可能である。 |
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注意事項 |
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セルフコーチングの重要な課題の一つとして「抽象度の向上」がある。抽象度は評価軸の重要度をコントロールすることでも変化する。短期的または局所的な対象も含んだ長期的または広範囲な対象の重要度が高まることで抽象度は上がる。例えば、「現在〜数百年、数千年後の人類」「動物(人間を含む)」「地球環境(人間の住環境も含む)」といった評価軸の重要度を高くするだけで抽象度は上がる。 |
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補足事項 |
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セルフコーチングの基本でもある「やりたいこと(want to)だけやる」というのは、言い換えれば「建設的動機付けに基づいた行動だけをとる」ということである。つまり、「心理的ストッパーの無いことだけをやって生きる」ということになるが、「それができないから困っている」という人も多い。誰しも「生きていく上でやらなければいけないこと(have to)」がいくつかある。セルフコーチングはそのhave toを減らしていく作業でもある。そもそもhave toはwant toがなければ存在し得ない。例えば「生きたい」という欲求(want to)がなければ、「生きるために嫌な仕事でお金を稼がなければいけない」といったhave toは生まれまれようがない。have toは単なる手段の選択間違いである。この場合、お金を稼ぐ手段、ひいては生きるための手段が間違っている。建設的動機付けに基づいた行動を取るなら、好きな仕事でお金を稼げば良いし、それ以前にお金を稼ぐことが嫌ならお金を稼がず生きる手段だってある。「好きな仕事に就く」、「お金を稼がずに生きる」といったことが現状難しいのならそれをゴールにしてセルフコーチングを行えば良い。最初は「建設的動機付けに基づいた行動」を行うこと自体がゴールとなるのは至極当たり前のことである。その他のセルフコーチングができれば建設的動機付けに基づいた行動を取るための方法は見つかる。 |
ゴール設定
効果 |
★★☆☆☆☆☆☆☆☆ |
|
リスク |
★★☆☆☆☆☆☆☆☆ |
|
難易度 |
★★★★★★★★★☆ |
概要 |
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Goal(s)-実在するもの、または事実を基にして、人間が求める結果。あるいは内面的、主観的に求める結果。最終的なゴールが達成目標である。身近なゴールは、達成目標に到達するための手段となる通過点と言える。 |
効果内容 |
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全ての人はゴールを持っているが、そのゴールを本人が意識できているとは限らない。ゴールは、本人が漠然と信じている情報、無意識レベルで感じている現実、内なる願望、といった様々な要素が複雑に組み合わさってできている。そして、ゴールは日々インプットされる膨大な情報に影響を受けることで、常に変容続けている。人間は日々変容するゴールに向かって進んでしまうシステムを持つ。自ら意識的にゴールを設定するということは、自らの意思で現在この瞬間の向かう方向を定めることを意味する。ゴール設定後はそのゴールが変容しない限り、達成されるまで向かい続けることになる。つまり、ゴールを達成するには一定期間のゴールの固定が不可欠である。今この瞬間どのようなゴールが設定されているかによって、その人の今この瞬間の行動、選択、思考状態等、あらゆる生命活動が決まる。この生体システムを根拠に「ゴール(未来)が現在を作り出す」と考えることもできる。 |
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やり方 |
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日々ゴールは再設定されている。ゴールの設定はすでに誰もが行っていることであり、難しいことではない。ただし、意図的にゴールを設定する場合は、ゴール設定がなされる仕組みを理解し、その仕組みを基に作られたゴール設定手順に従う必要がある。 |
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注意事項 |
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繰り返しになるが、ゴールの設定自体は難しいことではない。人はふとした時に新しく大きなゴールを設定している。「あの人のようになりたい」と憧れて少しでも近づこうと努力を始めたり、他人に影響を受けて無謀なチャレンジを行ったりした経験は誰もがあるはずである。その時点でゴール設定は上手くいっている。しかしながら、ゴールに向かっている最中に「やっぱり自分はあの人のようにはなれない」「これ以上の挑戦を行っても無駄だ」と感じたりすると、道半ばでゴールが書き換わる。ゴール設定が上手くいったからといって安心してはいけない。大事なのはゴール設定後、そのゴールを達成するまで維持し続けることである。セルフコーチングの多くは、設定したゴールを固定するための技術であり、ゴール設定後もセルフコーチングを続ける必要がある。。 |
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補足事項 |
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セルフコーチングを学んでいる人であれば「ゴール設定が大事」という話は何度も耳にしているはずだ。しかし、「ゴール設定が大事」というよりは、正しくは「どんなゴールを固定するかが大事」である。単にゴールを設定すれば良いというわけではないということは忘れないでいただきたい。 |
コンディショニングコントロール
効果 |
★★★★☆☆☆☆☆☆ |
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リスク |
★★☆☆☆☆☆☆☆☆ |
|
難易度 |
★★★★☆☆☆☆☆☆ |
概要 |
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Conditioning-特定の刺激に対する行動の傾向。 |
効果内容 |
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人間に限らず生物は刺激に応じて特定の反応を示す。その反応は物理的なものに限らない。特に人間は思考や精神といった内的反応にも刺激に応じた特定の反応傾向をもつ。ある入力刺激に対する反応傾向は人それぞれで千差万別である。万人に共通した良い反応傾向というものはなく、反応傾向の良し悪しは本人のゴール及び本人を取り巻く環境によって定まる。コンディショニングコントロールは、一つ一つの刺激に対して、本人のゴールにとって良い反応傾向を示せるように修正していく地道な作業である。反応傾向が一つ修正されるごとに、ゴールを達成している自分の状態に近づくことになる。 |
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やり方 |
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まず、ゴールを達成している状態の理想的な自分の姿をイメージしておく。ある刺激を受け、なんらかの反応傾向を示した際に、「ゴールを達成している状態の自分だったらどのような反応を示すだろうか?」と、現在の自分とゴールを達成している状態の自分を比較する。ゴールを達成している状態の自分が示すであろう反応と同じであれば「自分らしい」と現在の自分を認め、もし違うなら「自分らしくなかった。次は自分らしい反応をしよう。」と、一度現在の自分コンディショニングを否定して未来の自分のコンディショニングを定める。何度も繰り返し、正しい(ゴールに合った)セルフトークを行うことでコンディショニングをコントロールすることができる。 |
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注意事項 |
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人は脳内で無意識に無数の言葉を発して思考を作り出す。コンディショニングコントロールを行うには、思考の客観的観察が不可欠であるが、常に意識的な内省を行う必要があるわけではない。実生活を送りながら内省を常に意識的に行うことは現実的には難しいため、自分に相応しくないコンディショニングが現れた時にだけ、それを正すセルフトークを行えば良い。常に意識を内に向けていると他のパフォーマンスが下がりかねないという点は注意が必要である。 |
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補足事項 |
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ゴールの臨場感が高まっていると、自然と自分に相応しくないコンディショニングに違和感を感じ、内省状態に入ってしまう。そのため、わざわざ意識的に内省を行おうとする必要はない。内省状態に入った時に、正しいセルフトークを行う習慣をつけることが重要になる。 |
コンフォートゾーンに移動
効果 |
★★★★★☆☆☆☆☆ |
|
リスク |
★★★★★☆☆☆☆☆ |
|
難易度 |
★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ |
概要 |
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Comfort Zone-個人または団体が、困窮や恐れを伴わずに効果的に機能を果たしながら認知・照合を実行できる限定的な範囲。人が緊張せずにいることのできる、物理的または精神的に限定された範囲。 |
効果内容 |
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人はコンフォートゾーンの範囲内(内側)にいる時は、気分が良く心が安定しアイデアが出やすい状態(リラックス状態)で認知・照合を実行できる。人はリラックス状態にある時、α2波(9〜11Hzの脳波)の優勢率が高く検出される。これは副交感神経が優位な状態を示すが、リラックス状態でありながらも交感神経が優位な状態(フロー状態)もコンフォートゾーンの内側にいる時におこる。交感神経と副交感神経のバランスが取れていてることが重要であり、どちらが優位かは重要ではない。どちらにせよ、気分良くゴールに向うことができているなら、それはコンフォートゾーンの内側にいることを意味する。 |
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やり方 |
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人間はコンフォートゾーンに向かってしまう性質がある。コンフォートゾーンの外側にいる時は居心地の悪さを感じてその場から離れようとし、コンフォートゾーンの内側にいる時は居心地の良さを感じてその場に止まろうとする。もともとそういった性質が備わっているため、その性質に逆わなければコンフォートゾーンへの移動は可能である。 |
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注意事項 |
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コンフォートゾーンは一人当たり一つしかないと思われがちだが、実際はゴールの数だけ存在し、ベン図(複数の集合の関係や集合の範囲を視覚的に図式化したもの)のように部分的に重なり合ったりしている。そのため、「ゴールAのコンフォートゾーンの内側にいながら、ゴールBのコンフォートゾーンの外側にいる」と行った状況が常に起きている。すると、単にコンフォートゾーンに向かってしまう性質に従っていれば良いという話ではなくなる。例えば、逆方向にコンフォートゾーンが広がっていた場合、どちらに向かって行けば良いかわからなくなってしまう。結果的には臨場感の高いゴールによって生まれたコンフォートゾーンの方に引き寄せられて行くのだが、その過程でもう一方のコンフォートゾーンにも引っ張られ、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態になる。コンフォートゾーンが複数あること自体は問題ないが、それぞれのコンフォートゾーンの大体の位置は統一し、必ず共通部分が存在するように作られている必要がある。方向性が同じであっても共通部分が存在していなければ、矛盾が生じて最終的にどちらか一方のゴールを諦めなければいけなくなる。ただし、時間差をつけて切り替えが可能な場合は、コンフォートゾーンのそれぞれの位置関係はあまり重要ではない。 |
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補足事項 |
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コンフォートゾーンに移動することができない人の主な原因は、矛盾する(共通部分の存在しない)コンフォートゾーンを複数抱えていることによる。共通部分を持たずバラバラに存在する複数のコンフォートゾーンを前にしてどこにも向かうことができず、あるいは、いくつかのコンフォートゾーンに未練を感じながら現状維持に甘んじているという場合、コンフォートゾーンに移動することが非常に難しくなる。(常にコンフォートゾーンに向かってはいるが、いつまで経ってもたどり着かない状態。あと一歩のところまでたどり着いたとしても、そこに踏み込むことは即ちもう一方のコンフォートゾーンを諦めることを意味するため、決断ができず、現状のどっちつかずの状態を維持している状態。)「コンフォートゾーンに移動する」という行為自体は無意識が勝手に行うものであるため、それを意識的に行う必要は一切ないが、その前段階として、コンフォートゾーンが正しい位置に設置されている必要がある。コンフォートゾーンが正しい位置に設置されていない場合は、コンフォートゾーンの書き換えが必要である。 |
コンフォートゾーンの書き換え
効果 |
★★★★★★★★☆☆ |
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リスク |
★★★★★★★☆☆☆ |
|
難易度 |
★★★★☆☆☆☆☆☆ |
概要 |
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Comfort Zone-個人または団体が、困窮や恐れを伴わずに効果的に機能を果たしながら認知・照合を実行できる限定的な範囲。人が緊張せずにいることのできる、物理的または精神的に限定された範囲。 |
効果内容 |
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人はコンフォートゾーンに向かって行く性質を備えている。コンフォートゾーンを自在に書き換えられるということは、自分自身がどういう未来に向かって行くかを決める舵を意識的に切ることができることを意味する。コンフォートゾーンの書き換えは、現在の自分、延いては未来の自分の意識的及び無意識的な思考・選択・行動のコントロールにつながる。 |
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やり方 |
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コンフォートゾーンは記憶を基に作られた現実的なイメージである。正の情動記憶(感情にまつわる記憶。あるいは感情を伴った記憶。)によってイメージの快適性が評価され、負の情動記憶によって実現可能性が評価される。快適なイメージであっても、そのイメージの実現過程で負の情動記憶を呼び起こすものがあれば「自分にはそのイメージは実現できない」と感じてしまう。つまり、そのイメージは「コンフォートゾーンの外側の事象である」と感じる。人間は感情の生き物であり、論理的に実現可能かどうかは二の次で実現可能性を評価する。そのため、解決方法が不明なこと(現状知る限りの情報では実現の方法が解らないこと)にもチャレンジすることができる。 |
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注意事項 |
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情動記憶の書き換えに当たって、過去の観察を行うというアプローチは一昔前のコーチング理論であり、最新のコーチング理論ではその行為は推奨されていない。観察を伴う負の情動記憶の書き換えが失敗した場合、かえってその負の情動記憶が強化されてしまう可能性があるからである。負の情動記憶が強化されると、その記憶と結びつきのあるイメージに対するエフィカシーが低下する。コンフォートゾーンを書き換える際に、情動記憶の書き換えを行う場合は「過去は未来とは一切関係のないものである」として、負の情動記憶と未来の関係性を断ち切る作業に徹すること。情動記憶の直接的な書き換えは、一般的なセルフコーチングでは推奨されていない。コーディングの素人がソフトのプログラムコードを書き換えるようなものと考えると、直接的な情動記憶の書き換えには大きなリスクが伴うということがなんとなく想像できる。 |
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補足事項 |
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負の情動記憶と未来のイメージを断ち切る方法はいくつかあるが、主な方法はその記憶そのものを忘れてしまうことである。忘れるコツは思い出さないことである。思い出さないとは言っても、記憶は特定の情報をトリガーに自動的に引き出されてしまう。記憶を思い出さないようにするには、このトリガーを一つずつ外して行く作業が必要になる。トリガーを外す方法はいたってシンプルである。記憶が呼び起こされた時に、「トリガーとなった情報とこの情動記憶は一切関係がない」と唱え(頭の中で思うだけで良い)、すぐに別のことに思考を切り替えるだけである。何度も繰り返して行くうちに、思考の切り替えがスムーズになり、そのうちトリガーが発動しなくなる。 |
自己概念を知る(セルフイメージを知る)
効果 |
★★☆☆☆☆☆☆☆☆ |
|
リスク |
★★☆☆☆☆☆☆☆☆ |
|
難易度 |
★★☆☆☆☆☆☆☆☆ |
概要 |
||||
Self-自己。自分自身。己。
Self Image-セルフイメージ。自己概念。自己価値観に対する自分自身の意見。心理学において"自己(Self)
"は「自分によって経験または意識される自分自身」を指すが、ここでは、"心理学における自己"を「セルフイメージ」とする。 |
効果内容 |
||||||||
人はセルフイメージに合わせた選択や行動を行う。セルフイメージと合致した振る舞いや態度及び入力された情報に対する特定の反応を維持しようとし、それらとセルフイメージにズレがあった場合に違和感を感じる。セルフイメージは一種のコンフォートゾーンと考えることもできる。この特性から、セルフイメージを書き換えることで自己の無意識の振る舞いや態度、選択や行動をコントロールすることができる。しかし、セルフイメージを書き換えるには、まず、自分がどんなセルフイメージを構築しているかを知り、明確に認識しておく必要がある。認識に上がったものはコントロールが可能である。故に、セルフイメージを知るとセルフイメージの書き換えに繋がる。 |
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やり方 |
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まず、自分の性格・特徴・性質等を言語で定義して行く。自分自身の主観的な認識で良い為、正確に自己を定義できている必要はない。客観的にはその定義が全く的外れなものだったとしても問題ない為、思うがままに「自分はこんな人間だ」という定義を行って良い。 |
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注意事項 |
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セルフイメージを書き換えると、書き換えた部分と対応する振る舞いや態度及び入力された情報に対する特定の反応が変化する。「人の永続的的な変化は内側から始まり外側へ広がる」というルー・タイスの言葉が示すように、セルフイメージのような内側を変化させるだけで、振る舞いや態度及び入力された情報に対する特定の反応といった外側が変化してしまう。つまり、内側の変化が僅かであっても外側では大きな変化が起きることになる。その為、不確定な変化に対して事前にある程度のリスク管理が必要となる。そこで「自分の性格・特徴・性質等」と「自分の振る舞いや態度といったもの」がどういう関係性を持っているかを知っておくことが重要となる。この関係性をもとに、内側の変化がどれくらい外側に影響を与えるかを予測し、リスクを見越したセルフイメージの書き換えを行わなければいけない。 |
||||||||
補足事項 |
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セルフイメージを書き換えた場合はなんらかのリスクを伴うが、ただセルフイメージを知るだけなら殆どリスクはない。しかし、リスクがゼロというわけではない。単にセルフイメージを知るだけだと、そのイメージを強化してしまう可能性がある。しかし、「セルフイメージは単なる思い込みである」と理解している場合は、意識に上がったことでコントロール可能となり、逆にそのイメージが弱まる可能性がある。 |
自己決定
効果 |
★★★★★☆☆☆☆☆ |
|
リスク |
★★☆☆☆☆☆☆☆☆ |
|
難易度 |
★★☆☆☆☆☆☆☆☆ |
概要 |
||||
Self Determined-自分の人生や個々の行動について、自分自身で決定して管理すること。将来について自分自身で決断すること。 |
効果内容 |
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自己決定には二つの態度がある。一つは、「日々の選択が自己責任によって行われていることを自覚して生きる」という態度。もう一つは、「選択によって創造される未来を自らの意志によって定める」という態度である。一つ目の態度が身につくと、あらゆる結果に対して自分自身に原因を求めるようになる。エフィカシーが低いと悪い結果に対して自分自身を責め苦しむことになるが、エフィカシーが高いと自分自身を改善してよりゴールに近づこうというエネルギーを生み出す。2つ目の態度が身につくと、外部環境がもたらす不都合を無視して現状の外側にゴール設定しやすくなる。 |
||||||||
やり方 |
||||||||
まず、エフィカシーを上げる。次に、自分自身の選択がこの宇宙になんらかの影響を及ぼすことを認識し、全ての事象は自分との関係性によって生まれていることを自覚する。最後に好きなゴールを選択し、黙々とゴール達成に必要なことを選択し続ける。その際に選択を間違った場合は、一度自身の選択ミスを認め、すぐに別の選択を行う。 |
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注意事項 |
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自己決定の根幹を担うのは自己責任である。しかし、自己責任を受け入れることが必ずしも良い結果をもたらすとは限らない。エフィカシーが低い人の場合、自責の念に押しつぶされることもある。また、無力感に冴え悩まされたり、自尊心の低下を招くこともある。そういった結果を回避するためにあえて、自分以外の何かに責任を求めて自身の精神的健康を守ろうとする人もいる。そういった状況にある人に対して無理に自己責任を押し付けてはならない。自己責任を受け入れるには、ある程度のエフィカシーが保たれている必要がある。 |
||||||||
補足事項 |
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自己決定は意識的に行わなくても、それなりのエフィカシーが維持されていれば自然と行われるものである。ただし、エフィカシーが高くても、自分の選択によって他者に影響を与えてしまうこと自体を恐れてしまう場合、自己決定ができなくなることもある。それはセルフエスティーム(自分のポジションに対する自己評価)が低いことで起こる。「自分の選択が及ぼす影響が他者にとって良いものである」という自信は、自分のポジション(役割・機能・影響)を高く評価していなければ得られない。 |
自己実現的予言
効果 |
★★★★★★★☆☆☆ |
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リスク |
★★☆☆☆☆☆☆☆☆ |
|
難易度 |
★★☆☆☆☆☆☆☆☆ |
概要 |
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Self Fulfilling Prophecy-「自分の将来についての予想は自分自身の信念に基づいており、予想したことは、その通りに実現するものである。」という信念。 |
効果内容 |
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自己実現的予言という概念を信念として受け入れた場合、あらゆるセルフコーチングの効果が高まる。逆にこの概念を信念として受け入れることができていない場合は、あらゆるセルフコーチングの効果が弱まる。 |
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やり方 |
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自己実現的予言について原理は説明は可能だが、科学的な根拠はない。「情報空間上で起きたことは物理空間に反映される(現実に起こる)から」という説明が有力だが、それを実験などによって証明するのは現時点では難しい。そのため、「科学的な根拠のないものしか信用できない」という人の場合は、自己実現的予言を信念として受け入れることができない人も多い。そういう場合は、まず、「人間の知恵が及ばず科学的な証明ができずにいることもこの宇宙には存在している」という事実を今一度再認識すること。その上で、「情報空間上で起きたことが物理空間に反映される」と仮定して、様々な事象に対する説明を試みる。何度も行っていると、情報と物理の関係性に対する信念が書き換わる。すると、自己実現的予言のような受け入れ難い概念も信念として心から受け入れることが可能となる。 |
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注意事項 |
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ポジティブなことを予想すれば自己実現的予言に基づいてポジティブなことが実現する。しかし、ネガティブなことを予想すれば自己実現的予言に基づいてネガティブなことが実現する。予想は各要素、条件をもとに推論される事柄であり、各要素と条件からネガティブな事柄が実現すると推論できる場合は各要素と条件の書き換えが必要である。また、各要素にランダム要素が内包される場合、ポジティブな要素とネガティブな要素が同時にランダムに存在することになるが、必ずしもフォーカスした方が実現するというわけではない。 |
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補足事項 |
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自己実現的予言という概念を信じているかいないかに関わらず、この概念による影響は受ける。自己実現的予言を否定している人は、「予想したことが実現するとは限らない」と思っているため、実際に予想したことが実現しない。この場合、「予想したことが実現するとは限らない」という予想が実現したと考えることができる。自己実現的予言は「予想したことが実現する」という意味であって、「予想しなかったことは実現しない」という意味ではないということを誤解してはならない。予想したことも実現するが、予想外のことも実現する。 |
支配的概念の書き換え
効果 |
★★★★★★★★☆☆ |
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リスク |
★★☆☆☆☆☆☆☆☆ |
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難易度 |
★★★★★★★★☆☆ |
概要 |
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Dominant Idea-支配的概念とは、極めて優勢な見解、最も強力な映像、最も重要で有力な考えのこと。支配的概念の書き換えとは、無意識に行われている行動や選択を支配している内部表現を書き換えること。 |
効果内容 |
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支配的概念の書き換えによって無意識の行動や選択をコントロールすることができる。 |
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やり方 |
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注意事項 |
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補足事項 |
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