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「やりたくないこと」を「やりたいこと」に書き換える方法①では、「対象を多角的に観自在に正しく観る」というアプローチでした。

そして、「やりたくないこと」を「やりたいこと」に書き換える方法②では「ゴール設定(仮観)とゴールの切り替え」というアプローチでした。

この記事では、「信念と欲求とのズレを確認する。欲求をコントロールする。」という方法について詳しく見ていきます。

人間は自分の持っている信念に従って物事を評価し、判断し、そして行動します。信念とは「これが正しい」とか「これはこういうものだ」といった自分自身が信じている事柄のことです。

人は信念が強いと不思議なことに嫌なことでも進んでやってしまいます。

人間はやりたいからやる、嫌だからそれを避けるという基準で行動しているのではなく、「こうする方が正しいに決まっている」という信念に基づいて行動するのです。

「食事は一日三食食べるのが正しい」という信念を持っていれば、お昼に食べすぎてお腹がいっぱいでも無理やり夕食を食べてしまったりします。

私はこのように「信念によって欲求に反した行動をとっている状態」のことを「信念と欲求がズレている」と表現しています。

信念と欲求がズレていることが悪いというわけではありません。欲求のままに生きれば他人に迷惑のかけたり犯罪行為に手を染めてしまうかもしれません。欲求を制御し自分が正しいと思う真実に向かうことは大切なことです。

ただし、自分が正しいと思う真実が本当に正しいかどうかは、一度疑ってみる必要はあります。

先ほどの食事の例で言えば、「食事は一日三食食べるのが正しい」という信念はどんな状況においても通用する真実ではありません。

真実に向かおうとすることは良いことですが、そもそも真実だと思っていることが間違ったものであるなら修正しなければいけません。

食事の例の場合は、信念ではなく欲求に従った行動を取るべきです。「食べ過ぎてお腹が空いてない時は1日2食でも良いのだ」と信念を修正しましょう。

次に「欲求をコントロールする」というアプローチについて見ていきましょう。

勘違いしないでいただきたいのは、「欲求を無くせ」とか「痛いと感じることを気持ちいいと感じるようにしろ」というわけではありません。

欲求とは人間が生命維持するためにDNAレベルで書き込まれたプログラムであるため、そのプログラムを無闇に書き換えるのは良くありません。

「欲求をコントロールする」というのは「然るべき時に欲求が高まるように今の自分を制御する」ということです。

例えば、「料理を作るのが面倒だ」という場合は、料理を作り始める時間を予想して、その時間に「料理を作りたい!」と思えるような状態になるように計画的に今の自分をコントロールするのです。

料理を作り始める時までにお腹を空かせておき、できるだけ食欲を高めておきます。空腹状態であれば味見を楽しみながら料理ができるはずです。また、欲求が高まると、「こういうものが食べたい」と言ったゴールが自然と生まれてくるため、ゴールに向かう過程である料理も楽しく感じます。

「料理を作り始める時間」にめがけて「早く料理を作りたい」というゴールが生まれるように、あらかじめ現在の自分の状態を調整することです。

蓋然性の高い未来をより良いものにするために今この瞬間の行動を決める習慣をつけましょう。この習慣を身につけると「過去が現在に影響を与えている状態」から「未来が現在に影響を与えている状態」にシフトします。

セルフコーチングの効果を発揮するにあたって、「未来が現在に影響を与えている状態」は大前提なのですが、セルフコーチングを学んで実践している人でも、思考や無意識の判断レベルでこの状態を作れていない方は多いです。

「時間は未来から過去に流れている(未来が現在になり現在が過去になる)」と頭で理解したつもりになっているだけでは、セルフコーチングの効果は得られません。

実際に自分の脳内宇宙では未来から過去に時間が流れていなければいけません。そして脳内宇宙で行われた判断を実際の行動として物理宇宙に落とし込み、現実世界においてもそのような時間の流れで世界が構築されている状態を作ることです。脳内宇宙の時間の流れを変えるには、未来の影響によって現在の判断や行動が決定されるように脳のプログラムを書き換えるだけです。

過去の記憶によって現在の判断や行動を決めている状態から脱却しましょう。

セルフコーチングの基本ですが、細かなテクニックよりもこういった基本的なことをおろそかにせず、しっかりと自分の身(脳)に落とし込んで土台を作ることが大切です。こういった脳の土台作りは結果の出るセルフコーチングができるようになるために必要不可欠なことです。

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